四面楚歌-悲運の妃-
『今夜は私も寝ずに様子を伺おうと思っている。
私が護るは陛下と皇后様であって、軍妃ではない。
そうわかっているが、やはり軍妃達が気にかかる。』
「そうして軍妃達を庇ったとしても成長しないし、いつでも冥紗や四天王達が助けてくれると気を抜いてしまうじゃない。
それに庇いきれなくなった時にどうするのよ。
その場にいる軍妃は一人や二人じゃないのよ。」
私は聖人であるけど万能ではない。
すべての人は救えない。
ただ優しいのでもない。
私の中に常に迷いがあり、不安があるからこそ。
「今夜軍妃がどのようになっても、誰も冥紗を責める資格はない。
陛下も責めやしないわ。
むしろ冥紗が気に病んでしまうと、陛下が悲しむのではない?」
俯いた顔を思わず上げる。
李燗の言う事は最もだ。
一気に迷いが晴れていくようだった。
『なんだか、李燗の方が軍妃将軍に合っているな。
ありがとう李燗。
私はこの事ではもう迷わない。
軍妃将軍である私の責務だ。』
「何を言ってるの。
私が軍妃将軍という荷を持ってないからこそ、客観的にみてものを言えるのよ。
軍妃将軍なんて私がやったら陛下は護りきれないわ。」
李燗は笑いながらそう言うと、冷めたお茶を口に運んだ。