四面楚歌-悲運の妃-
身構えていると、刺客の一人が懐から呼び笛を出し吹く。
響き渡る笛の音と共に、刺客達が次々とその場から退却し始めた。
どういうことだ?
私も他の軍妃も予想外のことに、立ち尽くしその光景を見過ごした。
刺客達がいなくなり、あたりを見渡し我に返る。
『皇后様はご無事か!?』
「ああ、ご無事で中におられる。」
崙矣が答え胸をなでおろす。
改めてその場を見まわし、負傷者の手当てとこの場の処理をするよう命じる。
崙矣と悒雉は多少の傷を負ってはいるが、軽傷だ。
二人が私の元に駆けよってくると、悒雉が顔をしかめながら口を開く。
「ここに配置された軍女はより抜きの精鋭であるから、被害は少ない。その他の被害を確認しなければ。」
『南廊は私が駆けつけ、刺客は片づけた。祁嗄は無事だが死傷したものが多く、残った4人もなんとか立っているような状況だ。急いで他も確認しよう。』
崙矣と悒雉と共にこの場を軍女にまかせ移動する。
まずは北側に向かう。
北側は尹の部隊だ。
崙矣も悒雉も尹が心配なのだろう、進む足が速くなる。
「尹!」
悒雉が叫びながらあたりを見渡す。
私も崙矣も必死に見渡し軍妃達を探す。
「琴軍妃将軍様!こちらです!」
声をかけられ振り向くと、軍女が木の陰から現れた。