四面楚歌-悲運の妃-
軍女のもとに駆け寄ると、尹が軍女の1人に支えられてたちあがった。
「尹!」
悒雉が急いで駆け寄り、尹を支える。
支えられねば立てないが、見る限りでは軽傷のようだ。
木の陰には軍妃と軍女が3人横たえられている。
立っている者ま軽傷であるが負傷をしていた。
「刺客が退いてからこちらにて急いで手当てを施しましたが、3名はすでに息絶えておりました。」
軍女が涙を浮かべか細い声で言った。
たった1年余りしか軍妃として武術を身につけていない者達に、刺客は恐怖だったであろう。
恐怖のあまり逃げ出すことも、立ち向かうこともできなかったのではないか?
震える手を横たわる軍妃に差しのべ、冷たくなった頬を撫ぜた。
「この者達も、生き残った軍妃達も、逃げることなく刺客に立ち向かいました。立派な軍妃です。」
先程報告をしてくれた軍女が隣にしゃがみ込み、横たわる軍妃の肩に触れながら言う。
そうか…立派な軍妃であったか…。
命を懸けて戦ってくれたそなたたちに、敬意と礼を申す。
頬から手を離し、軍妃に頭を下げる。
あふれる涙をとめることができず、地に染みををつけた。
「軍妃になったその日から、こうなることは覚悟せねばならんこと。悲しんでばかりはいられない。このもの達が己が役目を果たしたように、我ら軍妃は情に囚われず役目を果たさなければならない。」
そういった崙矣の言葉は悲しみを我慢するように、震えていた。