さまよう爪
「小野田さん、あたし、この仕事向いてないですー!」
愛流はそう溢して、ぐたっと、デスクに突っ伏す。
うん、わたしも新人配属のとき思ったよ。
そう思った時期はあったものの、半ば強引に気持ちを切り替え「向いてないのではなく自分のプロ意識が足りないだけだ……」と考え、その後、何とか「わたし、向いてるかも」と思うようになった。
営業事務は営業の補佐なので、自分がミスすると営業の役に立たなかったということ、というか、むしろ迷惑をかけてしまうことになる。
自分は性格的に『まずはやってみる!』タイプなので、慎重派ではなかったからやらかした。
「三澤さん、わたし、社会人なりたての頃はミスがとっても多くて」
「ええー、小野田さんがですかぁ?」
彼女はのそりのそり顔を上げた。
「うん……わたし自身に『チェックをする』っていう習慣がないことが原因だって気づけたけど、気づくまでミスするかもしれないっていう認識がなかったの」
今思うと結構やばい……
「それで社会人になって、営業の人に迷惑をかけてしまったことでようやく、『ミスって起こるんだ……迷惑かけちゃう、ちゃんと、チェックしなきゃ』ってそう思えたんだけどね」
「小野田さんが……信じられないです」
「じゃあ、あたしには尚更無理じゃ」と、また顔をデスクにくっつける。 ゴンッてすごい音がした。
「わたしは後天的に無理やり叩き込みで癖付けして身につけたけど、三澤さんは慎重派だから、先天的に向いてるし、それに人を惹きつける才能があるもの」
営業の人はもちろん、社内のいろんな部署の人に協力をお願いしたり。
社外の人からの問い合わせに対応したり。
事務とはいえども、かなり人と接する仕事だと思う。
愛流はそう溢して、ぐたっと、デスクに突っ伏す。
うん、わたしも新人配属のとき思ったよ。
そう思った時期はあったものの、半ば強引に気持ちを切り替え「向いてないのではなく自分のプロ意識が足りないだけだ……」と考え、その後、何とか「わたし、向いてるかも」と思うようになった。
営業事務は営業の補佐なので、自分がミスすると営業の役に立たなかったということ、というか、むしろ迷惑をかけてしまうことになる。
自分は性格的に『まずはやってみる!』タイプなので、慎重派ではなかったからやらかした。
「三澤さん、わたし、社会人なりたての頃はミスがとっても多くて」
「ええー、小野田さんがですかぁ?」
彼女はのそりのそり顔を上げた。
「うん……わたし自身に『チェックをする』っていう習慣がないことが原因だって気づけたけど、気づくまでミスするかもしれないっていう認識がなかったの」
今思うと結構やばい……
「それで社会人になって、営業の人に迷惑をかけてしまったことでようやく、『ミスって起こるんだ……迷惑かけちゃう、ちゃんと、チェックしなきゃ』ってそう思えたんだけどね」
「小野田さんが……信じられないです」
「じゃあ、あたしには尚更無理じゃ」と、また顔をデスクにくっつける。 ゴンッてすごい音がした。
「わたしは後天的に無理やり叩き込みで癖付けして身につけたけど、三澤さんは慎重派だから、先天的に向いてるし、それに人を惹きつける才能があるもの」
営業の人はもちろん、社内のいろんな部署の人に協力をお願いしたり。
社外の人からの問い合わせに対応したり。
事務とはいえども、かなり人と接する仕事だと思う。