さまよう爪
正直男女ペアで踊るフォークダンスはあまりいい思い出がない。

男子のほうの人数が少し少なかったせいもあり、背の順で並ばされて上位何人かの女子達はいつも男子のほうの輪に入れられていたから。わたしもその例で。だからはいつも男役で女の子と踊るのみ。

嬉し恥ずかし男子とのフォークダンスなんか滅多に経験できない。たまに女子の輪に入ることだ出来ても、相手役になった男子のほうが背が低かったりするので、劣等感を持つ背の低い男子に、お前背高すぎ! ノッポ! とか嫌味言われたりして。

同じく背がある子が、おとこおんなって言われて泣きそうになっちゃって、そう言った男子と組む順番が回ってきたら足踏んづけてやって。

ということで、わたしのなかでフォークダンスは甘酸っぱい気分で胸がいっぱいになるものではなく、不愉快だ。

正反対に友達は中2の時からお互い両想いみたいな存在の彼がいて、中3の体育祭で、オクラホマミキサーが演目にあり、結局、その意中の彼とはオクラホマミキサーで手を初めて繋ぐことができたというエピソードがある。

そして、途中でギューッと彼が強く手を握ってきたので、彼女も気持ちを伝えるつもりで、ギューッと握り返した。そして、一言、「好きだよ」って告白されたと。

甘酸っぱい。青い。若い。

大人のフォークダンス同好会なんていうのもあるらしい。かわいい民族衣装に身を包んだ中高年の男女が楽しそうに踊るのを時々ローカルニュースみたいなので見かけて微笑ましく思う。
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