大剣のエーテル

「おい。さっきの俺の言葉を聞いてなかったのか。」


イヴァンさんがドスのきいた声で唸った。

しかし、ランバートはさらり、と答える。


「壊すのは本部の壁じゃないよ。この“逃走防止用の壁”のこと。これなら、穴を開けたって本部ごと崩壊することはないでしょ?」


(え?!)


「馬鹿じゃないの。こんな分厚い壁、自力で壊せるわけないでしょ。ゴリラじゃあるまいし。」


ルタのそんな苦言に、ランバートはにこりと笑みを浮かべた。


「いや、不可能じゃないよ。俺たちエーテルが全員の力を合わせればね。」


その場にいた全員が目を見開いた。

閉鎖された空間の中に、淀みないランバートの声が響く。


「この分厚い壁は防火シャッターじゃなく、逃走防止用だ。ということは火に特別強いわけじゃない。…しかも、幸運なことにガラスで出来ているし…」


彼の言葉に、痺れを切らしたルタが「結局何が言いたいんだよ?」と尋ねた。

ランバートは一呼吸置いた後、口を開く。


「ヒートショックを起こすんだよ。」


(え?)

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