大剣のエーテル
ランバートは、ガラスの壁に触れながら言葉を続ける。
「ガラスは温度の変化に敏感なんだ。だから、熱してからすぐに冷やすと、体積の膨張と収縮の働きで脆くなったり、割れたりする。」
ロルフが、ほぉ、と感心したように目を細めて口を開く。
「ってことは、この壁を俺のもつ炎の魔法で熱した後、ルタのもつ氷の魔法で冷やせば、楽に壊せるってことか?」
ランバートが頷くと、イヴァンさんが眉を寄せて呟いた。
「それだけでこの分厚い壁が破れるとは思えねぇが…」
するとその時、ランバートがにこり、と笑ってイヴァンさんを見た。
「そこで、イヴァンの出番だよ。」
「あ?」
ランバートは、手で拳銃を構えるようなポーズをしながら続ける。
「ロルフとルタの魔法で脆くなったガラスの壁をイヴァンが電撃銃で撃てば、壊れる可能性はあるってこと。イヴァンの雷弾は威力あるし。」
(…!そういうことか…!確かに、エーテル全員の力を合わせれば、不可能じゃないかもしれない。)
わずかな希望が見え始めた時、イヴァンさんが顔をしかめてランバートに言った。
「それを言うなら、お前がその大剣で壁に穴を開けた方がいいだろ。お前の攻撃の方が破壊力があるし…」
すると、ランバートはにこりとしながら答えた。
「俺はダメだよ。」
(…?)
すると次の瞬間。
ランバートは、私を後ろから、ぎゅっ、と優しく抱きしめた。
(っ?!)
エーテルらが目を見開いた瞬間、ランバートはにこやかな顔で言い切る。
「俺は急激な温度変化から、こーやってノアちゃんを守る役目があるから。」
「………。」