大剣のエーテル
それぞれが複雑そうな表情を浮かべて私とランバートを見つめる。
ニヤニヤしているのはロルフだけだ。
「ちょ、ちょっと!ランバート!」
「ん?なあに?」
「“なあに”…って…!」
(そんなナチュラルに抱きつかれたら困るよ…!しかもみんなの前で…)
イヴァンさんは茶番を見せられた、というような顔をして小さく息を吐いた。
そしてルタとロルフの方を向く。
「おい、お前ら。ランバートの策に乗る気はあるか。」
(…!)
その場が、しぃんと静まり返る。
ルタは碧眼をわずかに細めた。
「出来るか出来ないかって聞いてるなら、俺は出来るよ。炎の加減を知らない原始人が足を引っ張らなきゃね。」
ロルフは、それを聞いてすかさず反撃する。
「はっ…!俺に出来ないわけねぇだろ!しいて言うなら、成功のカギを握ってるのは俺じゃなくてイヴァンだ。オッサンは手がかじかんだら電気銃が撃てないもんな。」
「誰が“オッサン”だ!雷落とすぞ…!」
と、イヴァンさんが眼光鋭く反論した、次の瞬間だった。
…ドォン…!
「!」
遠くの方から爆発音が聞こえた。
建物が振動し、本部の壁がパキパキと音を立てる。
(まさか、爆弾魔が動き出したの…?!)
「…じゃれ合ってる暇はねぇようだな。」
イヴァンさんが、すっ、と腕を突き出す。
バチバチバチ…!
琥珀の魔法陣から現れたのは、黒い拳銃。
それを合図に、ルタとロルフも瞳を魔力で輝かせた。
ランバートが私の体を外套で包み込む。
「…俺から離れないでね、ノアちゃん。」
ランバートの真剣味を帯びた声が耳元で聞こえた瞬間。
ロルフが薔薇色の魔法陣を広げて叫んだ。
「いくぞ、野郎ども!!」