大剣のエーテル
彼は少し戸惑うような仕草を見せたが、やがて私の頭を軽く撫でて素早く言った。
「…ごめん!」
タン!と地面を蹴るランバート。
それに続くように、エーテル達が教会を出ていく。
ぽつん、と1人残された部屋には、手のつけられていないカップが5つあるだけだった。
彼らの出て言った扉が、ぱたん、と風で閉まる。
そう。
いくら同じ時間を過ごしても、私には彼らを待つことしかできない。
私が魔力を取り戻さない限り、彼らの隣にいつまでもいることはできない。
私が今の居場所を手に入れるのに長い時間がかかっても、彼らが私の元を去るのは一瞬だ。
「…ノア。」
ババ様の優しい声が私に届いた。
はっ、として振り返ると、柔らかい毛布が私の肩にかけられる。
「わざわざ男どもの後を追って外に出るのは風邪をひくだけじゃ。女の子は体を冷やしちゃいけないよ。」
にっ、と笑うババ様に、体の力が抜ける。
安心感が胸に広がり、心にぽっ、と熱が灯る。
「おいで。男どもが帰って来る前に“ガールズトーク”でもしようじゃないか。私のダンナの話でも聞くかい?」
「…!っ、ふふ。」
つい、くすくすと笑うとババ様は「何だい。私はまだ若いんじゃぞ?」と眉を寄せる。
私を元気づけるための気遣いが、胸に染みた。
(…やっぱり、ババ様はルタと似てる。優しくて、温かい。)
肩にかけられた毛布をきゅっ、と抱きしめ、彼女の隣に腰を下ろそうとした
その時だった。