紳士的上司は愛を紡ぐ

「りょう……っ島崎アナ、具合は!?」

仕事だとわきまえながらも、心配で駆け寄る。

「もう大丈夫。二宮アナ、関係者の皆様ご迷惑をおかけ致しました……!」

深々と頭を下げた後、いつもの笑顔で大丈夫だと伝える彼女の顔色は随分と回復したように見えた。

「良かった。じゃあ、もう八王子アナは……」

交代を知らせようと彼の姿を探すと、

「彼なら私と入れ違いで戻っていったわ。
何度もお礼を言ったけど、麻里からも念押ししておいて。」

と涼子が耳打ちした。

どうやら私が出演している間に、彼女と交代してしまったらしい。結局彼は約30分間、代役を務め上げた。

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