リボンと王子様
だけど。

あの日から四年経って。



記憶の中の彼の姿が少しずつ朧気になり。

積極的に探していた、とは言い難い私の毎日の中で。

再会することもなく。



やっぱりあれは一時の熱で。

思い出を美化してしまっているだけ。

そもそも私はそこから逃げたのだから。

これだけの人がいる世界で、そう簡単に出会えるわけがないと。

半ば諦めかけていたのに。




……再会してしまった。




彼は想像通りの人ではなかったけれど。

意地悪な言い方や素っ気なさも多々あって。

再会してからの日はとても浅いけれど。



ずば抜けた外見だけではなく。

泣きたくなるくらいに不器用な優しさをもつ人で。

私の想像が及ばないくらいに。

素敵な人だと知ってしまった。



そして。

手の届かない王子様だということも。




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