友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~

深夜一時。
マンションに帰宅した。

玄関の明かりだけがぽつんとついて、リビングや寝室は真っ暗だ。

返って気楽だ。待たれていると思うと、こっちも焦ってしまう。
こういうとき、のぞみが相手で良かったと感じる。

「あーつかれた」
キッチンの電気をつけて、冷蔵庫を開ける。

「食べるもの、何もないなあ」
ネクタイを緩めながら、ふうとため息をつく。

キッチン入り口から、ロフトが目に入った。柵の間から、のぞみの手がプランと出ている。

「あいつは、何食ってんだ?」
ふとそんなことを考えた。

冷蔵庫の中に紙パックジュース取り出し「深夜だから」と、ジュースだけで我慢することにした。あっという間に飲み干して、ゴミ箱を開ける。

そして、気がついた。

ゴミ箱の中に、鍋の素が放り込まれてる。3人から4人前の袋。

「あいつ一人で、鍋4人前食べたのか?」

コンロに鍋はない。じゃあ……。

琢磨は冷凍庫を開けた。そこには五日分のタッパ。持ち上げると、中にはいずれも鍋の残りが入ってる。

「毎日、鍋って……」
琢磨は一つを取り出し、電子レンジで解凍した。

スプーンを出して、食べる。鍋の素だから、味に間違いない。

琢磨の口元に笑みが浮かぶ。
「これ、料理って言わないから。今度教えなきゃ」
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