友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~
のぞみは二つ目のパンを開ける。コロッケパン。
「あ、そういえば野橋さんから連絡きた?」
のぞみは尋ねた。
「着信あったかも。話してはないな、忙しくて」
「結婚相談所のパンフに、成婚したカップルで写真載せてもいいかって」
「げ」
琢磨は顔をしかめた。
「インタビューもしたいって」
「やだよ。だって結婚したのなんて、たまたまじゃん」
「野橋さん、絶望からの逆転勝利で、嬉しいんじゃない? 何しろわたし、30連敗中だったしさ」
琢磨は笑う。
「そもそも恋愛する気もないのに、相談所に登録するから連敗するんだろ」
「そっちだって同じじゃん。わたしが琢磨の連敗を食い止めてやったの」
「うわ、えらそ」
卵サンドを食べ終わった琢磨は、ゴロンとコンクリートの土手に転がる。
「レジャーシートとか、持ってくりゃよかった」
「いいじゃん、直に座っても」
「弁当は、コンビニパンだし。お手軽」
のぞみもゴロンと横になった。
「琢磨なら、朝から張り切ってお弁当作るんでしょ」
「弁当は作るって決まってるだろ?」
「わざわざ疲れてどうすんの? これだけで十分、楽しいじゃん」
のぞみは空を見上げながら思い出した。
高校生の頃も、用もないのに川沿いでしゃべった。
もっと上流の、綺麗な川だったけど。
コンビニでジュースとお菓子を買って。
琢磨は変わった。
わたしはあの時から、どのくらい変わったんだろう。