元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
私たちは本当に皇居まで連行され、地下牢に閉じ込められた。
二人並んで鉄格子をつかみ、辺りを見回す。暗く冷たい牢には入口のところの見張り以外誰もいない。
ここに閉じ込められてもう一日が経った。一日目は監視の目を気にして静かにしていたけど、すぐに我慢の限界が来て口を開いた。
「そういえば、ここにはエカベト国王がいるんじゃなかったですか?」
「暗くて見えないが、この奥にも通路があるという噂だ。よっぽど奥に閉じ込められているんだろう」
たしかに、灯りが点いていないので一寸先は闇。しかもすぐ入口に近い牢に閉じ込められてしまったので、部屋の奥がどうなっているのか詳しくわからない。
噂によると、この地下牢は何十もの牢が設置されており、広い地下空間は脱走を妨げるために迷宮のようになっているとレオンハルト様が小声で教えてくれた。
「さあ、作戦は浮かびましたか?」
「ん?」
「まさか何の勝算もなく、ただ無抵抗に捕まったわけじゃありませんよね?」
見張りに聞こえないように気をつけながら、じっとレオンハルト様を見つめる。
このままじゃ不公平な裁判にかけられて、一方的に死刑にされかねない。どうにかして脱出しなくては。
「お前さ、俺を神か何かと勘違いしてないか?」
床に胡坐をかき、腕組みをして私を呆れたように見るレオンハルト様。