元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
『お前な。俺に言っただろ。みんながそばにいるって』
レオンハルト様が私の肩に手を置く。それは大きくて、とても温かい。
『俺はお前が傍にいてくれると安心する。お前の存在が、俺が一人で何もかも背負い込むことはないんだって思わせてくれる』
アンバーの瞳が暖炉の火を反射してオレンジ色に光る。それは海に溶けていく夕日を連想させた。
『お前には俺がいる。お前に皇妃としての責任を一人で背負わせることはしない』
彼の一言一言が胸に染みる。泣きそうになった私に、レオンハルト様が追い打ちをかけた。
『ルカ。これからも一緒に歩んでいこう』
低い声の一滴が胸の水面に落ちて、波紋を描く。その美しさが感情の堤防を決壊させた。
『はい』
ぽろぽろと涙が零れ落ちる。それをぬぐいながら必死にうなずく私を、そっとレオンハルト様が抱きしめた。
こうして私は初恋の人の花嫁になると同時に、皇妃になることに決まったのだった。