元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
明るいみんながいたから、あの辛い航海から脱落せずにすんだんだ。
「幸せにな!」
ライナーさんが酒瓶を掲げる。
「綺麗だよ、ルカ」
アドルフさんが笑顔で花びらを投げる。その隣でベルツ参謀は静かに涙を流し、若奥様にハンカチで目元を拭いてもらっていた。
「これからもよろしくな」
皇帝となっても偉そうにならない、変わらないレオンハルト様はみんなにそう挨拶した。
彼は今までの皇帝とは違い、また戦いが起きるようなことがあれば、彼は自ら最前線に立って艦隊を指揮することだろう。
そうなっても、傍にはこの心強い仲間たちがいる。その事実は私の心の負担を大きく軽減してくれた。
──夜まで続いた宴会の後、私たちはようやく宮殿へ戻った。
王冠やティアラ、杖にマントなど、大げさな衣装を脱ぎ捨てた私たちは広い寝室のベッドに同時になだれ込んだ。
見慣れた海軍の軍服を着たレオンハルト様と、ドレスのままの私を見かね、身の回りの世話をする役割の侍女が声をかけてきた。
「お召し替えをお手伝いいたしましょうか?」
けれどレオンハルト様は起き上がって首を横に振る。
「いや、いい。自分たちでできるから。君たちも今日は疲れただろ。早く休むといい」