元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
「なあ、今の俺にとって一番大きな仕事はなんだと思う?」
「へ?」
いきなりなんだろう。結っていた髪を解かれながら、懸命に考える。
「貴族階級の特権を整理すること?」
「それも大事だが、違う」
「じゃあ、議会を開くこと。市民の代表を議員にして、話し合いを……」
「それはもう少し国内が落ち着いてからだな」
それ以外に何があるだろう。一生懸命考えてうなっていると、レオンハルト様がくすりと笑った。
「本当に真面目だな。真面目がドレスを着て歩いているようなもんだ」
「へ?」
「正解は、子供を作ること。新しいヴェルナー王朝も、子がいない間に俺が死んだらあっさり一代で終わってしまう」
想像もしたくないことだけど、レオンハルト様がもし急逝でもしたら、帝国は大混乱するだろう。
たしかにヴェルナー王朝を維持するためには嫡出子の出生は不可欠かと思われる。
ふむふむとうなずくと、レオンハルト様はにやりと笑った。獲物を見つけた肉食獣のように思える顔で。
「というわけで」
耳元に唇を寄せ、熱い息で囁く。彼の声が鼓膜を叩くと、ぞくぞくと体が震えた。決して嫌悪の震えではなく、快感を覚え込まされた私の身体がこれから起きることを期待している。恥ずかしいけれど、それが本当の私だ。