元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
「あれ、無節操と言わないですか?」
「無理やりじゃなきゃいい」
レオンハルト様も上機嫌らしく、にやりと笑う。無理やりじゃなきゃって……あなたが言うな。
「さあ座りなよルカ」
「あ、ありがとうございます」
まあいいや。私が何を言おうと、この人たちが自分のスタイルを変えることなんてないわ。とにかくお腹が空いた。
ソーセージが盛ってあるお皿に手を伸ばすと、後ろから前方からどたどたと兵士たちが五人近づいてきた。
「クローゼ少佐、お酌させてください!」
「いや、最初は私に」
「え? え?」
彼らの顔と名前を頭の中でつなげているうち、私の前に五本のジョッキが置かれた。それにはすべてなみなみとビールが注がれている。
「命を懸けてヴェルナー提督を守ったその勇気、感服いたします」
「はあ……」
「少佐もご無事で良かった。本当に良かった」
兵士たちは代わる代わる、握手を求めてくる。
今まで、突然陸軍からやってきた私のことを白眼視する者も多くいた。気にしないようにしていたけど、実際に私の方を見てこそこそ何か言っている兵士を見たことがある。
私の副官としての資質を疑問視していた人がたくさんいたということだろう。それは当たり前なので、怒る気にはならない。