婚約恋愛〜次期社長の独占ジェラシー〜
 そして両親と共にやってきたのは、一週間前に傷心したわたしが逃げるようにあとにしたあのホテルだった。
 
 なんか幸先悪そう……。

 そんなことを思いながらホテルを抜けて、日本庭園の一角にある有名料亭の隠れ家のような建物に到着した。

 このお見合い、ずいぶん奮発したようだ。わたしは大手化粧品会社、パルフェ・ミューズ・ジャパンの広報室に勤めており、以前、会食の場所を調べていたときにここの情報を見たことがある。コース料理はひとり三万円前後のお値段で、あまりの高さにギョッとしてしまったのを記憶している。
 
 
 年配の上品な仲居さんに案内されて、五部屋の個室があるうちのひと部屋へ案内された。

「お連れさまはすでにいらしております」とのこと。

 その言葉にわたしの緊張感が増した。顔が引きつっているかもしれない。両手で頬をほぐすように動かす。

 初のお見合いを設定して、わたしのように緊張しているのではないかと思っていた両親は、予想に反し楽しそうに個室の中へ入っていく。

 わたしは若干しり込みしながら俯き、震える足で続いた。

 次の瞬間、相手から素っ頓狂な声が聞こえ、わたしはハッと顔を上げた。

 目の前に、わたしたちを出迎えるために立ち上がったご両親と、京(きょう)平(へい)がいた。

「な、なんで京平がここにいるのっ!?」

 これはなにかの間違い。京平がお見合い相手だなんてあり得ない。

 もう京平のことは忘れて、幸せな道を見つける。そう思っていたのに……。
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:35

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
  • 書籍化作品

総文字数/123,119

恋愛(純愛)208ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
困っている親友の身代わりとして お見合いに行くことになった紬季。 ”相手の男性から嫌われて来てほしい” そう言われて嫌な女を演じていたのに…… 「君には俺の恋人になってもらう」 なんと彼は勤め先の御曹司で、 嘘がバレたうえに 無茶なお願いをされてしまい!? ******** NYから帰国した『光圀商事』の御曹司 忽那 大和(くつな やまと) ✕ 『光圀商事』の総務部社員 秋葉 紬季(あきば つむぎ) ******** 強引だと思っていたのにどこか甘くて、 なぜだか心をかき乱されてしまう。 「かわいい。もっと俺を欲しがれよ」 彼の秘めた想いを知ったら、 溢れ出す気持ちをもう抑えられなくて…。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop