無慈悲な部長に甘く求愛されてます
冴島さんがせっかく止めようとしてくれていたのに、勢いで引き受けてしまった自分が恨めしい。
でも、私が早まってしまったのは、もとはといえば彼のせいなのだ。
「冴島さん……の、バカ」
ぐでりと机にうつ伏せたとき、フロアの反対側で扉が閉まる音がした。
「俺がなんだって?」
はっとして顔を上げる。
電気が半分消えた薄暗いフロアを横切って、営業部門を統括する鬼部長が、不機嫌そうに近づいてくる。
「さ……」
声が出なかった。
どうして、ここに。
「まったく、君はどこまでお人好しなんだ」
尖った声に反射的に背筋がのびる。
「す、すみません」
冴島さんは私のところまでくると机に小さな紙袋を置いた。
見覚えのあるマークがプリントされたそれに、私は目を見開く。
となりのデスクから椅子を引き出してどかりと腰を下ろすと、細身のダークスーツに包まれた長い足を組んで、彼は威圧感たっぷりに私を見た。