無慈悲な部長に甘く求愛されてます
私はキャラを被っているわけじゃなくて会社で素のぼんやりが出ないようにしているだけだけど、それでも一日が終わるころにはぐったりしてしまう。
会社にいる長い時間、別人になりきるなんて、心も体も相当消耗するに違いない。
「たしかに疲れる。でももう、かまわない」
冴島さんは私を見て優しく微笑んだ。
「君がわかってくれてるから」
まっすぐ注がれる視線に、きゅうと胸の奥がしびれた。
頭からつま先にかけて、喜びがじんわり広がっていくみたいだ。
私のなかが恥ずかしさと嬉しさでいっぱいになる。
でもほんの少しの、いや、結構な割合で、不安もある。
私、明日から冴島さんと同じフロアできちんと働けるのだろうか。
すると、当の本人が時計に目をやった。
「明日も仕事だし、そろそろ帰さないとまずいな」
日付はとっくに変わり、短針は夜中の一時を差している。
立ち上がった彼が、いたずらっぽい顔で振り返った。
「それとも、泊まっていくか?」