無慈悲な部長に甘く求愛されてます

 両方出てくるうえに牛フィレ肉とフォアグラとトリュフのトリプルコンボなんて……!

 このロケーションにこのコース内容なら、ランチでも間違いなくあのときのクリスマスディナーの倍以上はするはずだ。

 私、今日死ぬのかもしれない、と思いながらひときれ口に放り込んだ。

「おいっしい……!」

 口の中に広がる芳醇な香りに、フォアグラの濃厚な味わいと牛フィレ肉の甘さがたまらない。

「最高……!」

 魂を込めたつぶやきに、冴島さんはくすくす笑う。

「そんなにうまそうに食べてくれると、連れてきた甲斐があるよ」

 そう言うと、彼は食べ終わった皿にカトラリーを揃えて置いた。

「年末年始はバタバタしてしまってこんなに遅くなってしまったが、改めて謝罪させてほしい」

 背筋を伸ばし、ちょっとだけかしこまった顔で私を見る。

「クリスマスのときは、本当に申し訳なかった」

 私はびっくりしてフォークとナイフを置いた。ナプキンで口を拭い、冴島さんに目を戻す。
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