浅葱色の魁
将軍警護の仕事が入ったが

「俺は、留守番する」

「平助…仕事なんだ」

「俺は、将軍とかどうでもいい!
留守番する!」


頑なに拒む平助に


「将軍に恨みでもあんのかぁ?」


原田が聞く


「そういうことじゃねえよ
嫌ってだけ」


「嫌な、理由ってのがあんだろう?」


永倉が聞く


「うーん、気乗りしない」


結局、警護せず留守番した








「よう!平助!1杯やろう!」



警護から帰った芹沢が、平助を誘う



「鴨の奢りか!?やろう!」



翌日 




朝稽古に平助は、顔を出さなかった



「芹沢さんの相手をしたとしても
君は、朝稽古には出ないとね
指南役をしているものが、これではいけない!皆の良い手本でなければいけないよ!」




山南の説教が終わり、一人になると

はぁとため息を漏らす




〝皆は、やりたいことだからいいけど
俺は、徳川の将軍を守るとか
本当に嫌でたまらない!
良い手本って、そんなの俺がなれるか?
俺は、そんな立派なこと出来ない〟





ムスッとして
壬生寺へ行くと


「あ!平助君!」


子供たちと遊んでいた沖田が
駆け寄って来た



ここ来るまでの経緯を話した



「見本かぁ そんなの僕も無理だなぁ
でも…… 平助君みたい自分の意思を通すことも僕は無理だなぁ」


「は?総司は、良い手本になってるだろ
俺みたいに我が儘言わない
それに、サボったりとかしないよね?」



「僕は、臆病者なので!
道を外れることは苦手なんだ
だからかな?平助君が羨ましいよ!」



「羨ましい!?」



「ええ 本当に
僕にない強さをたくさん持っているから
あ!でも、あんまり型破りしてると
土方さんから、ゴーンって死ぬほど痛い
拳骨落とされるから気をつけないとね!」



「総司!イタズラしに行こうぜ!」



「え… まさか…」



「土方さんに!」




沖田と平助のイタズラが成功し
土方から見事な拳骨が落とされる



「ってぇ… 想像以上だ…」



「うぅだから言ったでしょう?」



「うん!あははっ!痛えな!総司!」



「どうして嬉しそうなの?」



「総司と一緒だからな!
それに… 目が覚めた!」



「ふふっまだ二日酔いしてたの?」





〝違うよ総司
俺は、自信がないんだ
皆についていけるか不安なんだ
いつもニコニコしている総司にも
不安がある
俺は、ひとりじゃないと知った
藤堂平助でいる間は、ついていかなきゃ
徳川がどうのは、忘れて
ちゃんと仕事しよう!〟







「クスッ そんなとこ」















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