クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
「同期だって、弘瀬先生が話したみたいでさ。あいつも相当モテるみたいだけど、どうせ期間限定だしな。あー、いっそのこと男子ばっかりで固めようか」

「希望者ほとんど女子なんでしょ?」

 それは図星だったらしい。一馬は苦虫を噛み潰したような顔になる。

「とりあえず課題レポートの出来で決めようとは思っているけど。上手くふるいにかけられるかどうか。あー、もう俺が独身で若くてカッコイイのにフリーだというばかりに」

 思ったより余裕そうじゃん。私はグラスを口に運んだ。

「じゃぁ、さっさと彼女を作れば?」

「お前、簡単に言うよな」

 一馬は大学時代は真紀と続いていたけれど、卒業後の進路が別々となったことで遠距離恋愛になり、自然消滅になった。それでも今は同期として気まずくなることなく良好な関係を築いている。三人で飲んだこともあるし。

 院生時代も彼女はいたみたいだけれど、こっちに就職が決まり、その彼女とも別れたんだとか。つまり今はフリーなわけだ。

 なにかを返そうとしたところで、一馬の視線が私を通り越して入口の方に向けられる。不思議に思って、私も振り返り気味にそちらに顔を向けた。そこで私は大きく目を見開く。

 ずっと避けていた幹弥が女性を連れて店内に足を進めていた。向こうもさすがに驚いた表情になる。女性はこの前、駅で見かけて、幹弥のマンション前でも会った人だ。

 今日の彼女は前に見た印象よりも大人びていて、黒のワンピースにアクセサリーがいいアクセントに光って、落ち着いた色合いのピンクのビッグチェスターを着ている。

 幹弥がスーツを着ていたので、その対比具合でも、ふたりはとてもお似合いに見えた。
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