クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
「片岡さんって女の子にモテそうだもんね。クールっていうか。あ、私もユウって呼んでいい?」

「え」

「どうぞどうぞ、呼んでやってくれ」

 戸惑う私をよそに一馬があっさりと許可を出す。すると、斜め前に座っていた別の女子から質問が飛んだ。

「親しそうだけど、片岡さんと江頭くんって付き合ってんの?」

 その質問に場の注目が集まったけれど、一馬が顔の前で手を振って即座に否定する。

「付き合ってないって。どちらかといえば男友達? 親友というか、付き合い長いけど、そんなんじゃない」

 そう言って一馬は私の方に視線を戻し、どこか哀れみを含んだ目を向けてきた。

「ユウも大学生にもなったんだし、友達もいいけど彼氏も頑張って作れよ。いつでも、いや暇だったら相談に乗ってやるから。お前、男慣れしてないんだから変な男に引っかからないように見極めてやるよ」

「そういうの本当にいらないって」

「相変わらず冷たいやつだなー」

 大袈裟に被害者ぶる一馬に、私は嫌気が差しながら右手の甲を外側に振った。

 一馬はいつもそうだ。私のことを絶対に女として見ないくせに、妙に過保護というか、干渉してくるというか。

 本当に、やめてほしいのに。

 そんな私の気持ちを一馬は知る由もなく、さっさと気を取り直して「うんうん」と続けている。

「希望を持て。大学は広いんだから、お前でもいいって言う物好きもきっといるって」

「喧嘩売ってる?」

 私はつい声に棘を含めて返してしまう。たしかに、私は女らしさが足りない。それは大学に入学して余計に感じた。
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