求めよ、さらば与えられん
女神像の真ん前に立って見上げた。凄い迫力。でもとても温かな気持ちになった。随分前に建てられたというのに、今でもみんなの思いが伝わってくる様だった。


__?


今、何か聞こえた?


叫び声みたいな……。



‘ッ__!!!!!!!!!’



頭の中に大きな声が響いた。突然の大きな声に耳鳴りがする。足元がふらついた。


周りを見渡しても誰の様子も変わらない。こんなに大きな声で叫んでるのに聞こえてない?どうして?悲痛な叫び声が止まない。恐怖さえ覚えた。けど呼ばれてる様な気がして、気付けば足が走り出していた。


どこ?何処にいるの?


走れば走るほど声が大きくなっていく。


森の中を走っていると色んなところから聞こえる声。それも耳元で小さく囁かれる。それはどれも助けを乞う様なものだった。


これは夢?私以外に人は居ないはずなのに、どうして声が聞こえるの?私に話しかけるのは誰?


道とは言えない様なところに止まっている馬車を見つけた。人は居ないみたいだ。


ダメだとは思いながらも恐る恐る荷台の布を開けた。中を見た瞬間息を飲んだ。なんて悍(おぞ)ましいの……これは夢……誰かそうだと言って。


至る所に血が飛び散り、動物が倒れている。捕らえられた動物たち。


助けを呼びに行かなきゃ!!


っ__!?


踵を返そうとしたら頭に強い衝撃が走った。痛みとともに一瞬にして真っ暗になった。





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