求めよ、さらば与えられん
「もー! ビーチェがビックリしてるじゃないの!」

「はは、すまない。 お前からいつも話を聞いているものだからなんだか初めて会う気がしないな」



お髭を生やした男性はロアナのお父さんだった。二人の顔を見比べると、どことなく似ている気がする。何より笑った顔が良く似ている。



「ロアナから話を聞いたよ。 最前線の救護所に行くらしいね?」

「はい」

「現実を目の当たりにする事が多いだろうが、取り乱してはいけないよ? 冷静さを失えば自分自身の命をも危うくしてしまうからね」

「はい、ありがとうございます。 肝に命じておきます」



元々王城で医師長を務めていたロアナのお父さんは、今回に限り再び王城で医師を務めることになったらしい。人手は足りているはずなのに……。


それほど戦況は宜しくないのか…切羽詰まっているのか……と考えると不安が胸に広がった。


夜、国王陛下の部屋を訪ねた帰り、テラスを覗くと誰もいなかった。会いたかったようで会いたくなくて……妙な安心感に可笑しさを感じながらテラスへ足を運んだ。





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