求めよ、さらば与えられん
ジーン王子の目を真っ直ぐに見つめた。彼も私から逸らさない。受け止めてくれる。



「……当初はお前も殺そうと思っていた」

「え……?」

「アゼルとヘンリーにはお前を守る為の戦だと説明していたが、俺は殺してやる方がお前の為だと…幸せだと思っていた」

「じゃあどうして……殺さなかったの?

「どうしてだろうな……お前があんな行動に出なくとも殺せはしなかっただろう。 あの教会で会った瞬間にお前に惹かれていたのかもしれない……憎まれてもいいから側に…と思ってしまった」



ジーン王子は「ははっ」と自嘲するような笑いを浮かべた。



「戦に個人的感情は挟まない。 目的のためには手段を選ばない。 それが俺だ。 あの日まではそう思っていた」



私はジーン王子の頭に手を伸ばした。そして頭を抱き寄せた。



「ごめんなさい」

「何故謝る」

「私のせいで貴方を苦しめた……」

「謝るのは俺の方だ……お前を傷付けた……酷い事もたくさん言ってしまったな…すまなかった。 ルーカス王は間違いなくお前を愛していた…きっと今も……」



パパからの愛は今でも色褪せない。幸せな思い出ばかり。だからこそパパを喪った時、中々現実を見る事が出来なかった。





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