求めよ、さらば与えられん
人で溢れかえる街中を歩いていたら、突然腕を掴まれた。私よりも早く反応したダミアンさんの手が、少女の首元でピタッと止まった。



「なんだ、嬢ちゃんかぁ〜」



なんか様子がおかしい。



「どうしたの?」



屈んで視線を合わせた。泣きそうなのを一生懸命堪えてる。



「ロロを助けて__っ」



女の子の目からボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちていく。



「ロロって昨日一緒に居た男の__」

「お腹痛いってっ、凄く苦しそうで_っ、弟なの! お願いっ助け、て__!!」



しゃくり上げながら何度も「お願い」と口にする少女。弟の為に必死に走り回ったであろう何も履いていない足は、血だらけになっていた。



「案内して!!」



そう言うと、ダミアンさんが少女を抱き上げた。



「俺が抱えた方が早いだろ?」

「ありがとうございます!」



ダミアンさんに抱きかかえられた少女は何度も涙を拭いながら、一生懸命道を案内してくれた。どんどん街の喧騒から離れていく。走って向かった先に在ったのは、干からびた土地に建っているボロボロの家屋だった。


家の中に入ると、男の子が床に苦しそうに倒れていた。



「ロロ!!」



少女はダミアンさんの腕から無理矢理抜け出し男の子に駆け寄った。


私はショルダーバッグの中から布の口あてを取り出し鼻と口を覆った。ダミアンさんにもお願いしてハンカチで口元を覆ってもらった。





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