求めよ、さらば与えられん
黒髪の男性に一歩近づくと、側に控えていた軍服を着た男性が剣の鞘に手をかけた。構わず私は歩みを進めた。
「今すぐここから出て下さい」
鞘にかけた手が動いた。手を伸ばし剣を引き抜こうとするのを制した。
「私にもここにいる人達にも殺意を持つものはおりません。 ですから、どうか穏便にお願い致します。 私に御用でしたらここでなくとも宜しいでしょう? そもそも私はただのベアトリーチェであって、王女ではございませんが、それでも宜しければお話を伺います」
ここにいるみんなは心に深い傷を負っている人たちばかり。それなのに今ここで争いごとが起きれば、また心に傷を負ってしまう。辛い過去を思い出してしまう。そんなのは絶対に嫌。
突然顎を掴みあげられ冷たい目で見下ろされた。感情のない漆黒の瞳の奥には、深い闇が広がっているように見えた。震える体をどうにか抑え込もうと、拳にグッと力が入る。
「いいだろう」
男性は乱暴に手を離すと踵を返して歩き始めた。
深く深呼吸をして私も一歩踏み出した。すると誰かに腕を掴まれた。強張った顔で小刻みに首を横に振るマデリン。
「大丈夫だよ。 だからここで待ってて。 ね?」
マデリンに笑って見せた。
神父様は目が合うと静かに頷いた。
「今すぐここから出て下さい」
鞘にかけた手が動いた。手を伸ばし剣を引き抜こうとするのを制した。
「私にもここにいる人達にも殺意を持つものはおりません。 ですから、どうか穏便にお願い致します。 私に御用でしたらここでなくとも宜しいでしょう? そもそも私はただのベアトリーチェであって、王女ではございませんが、それでも宜しければお話を伺います」
ここにいるみんなは心に深い傷を負っている人たちばかり。それなのに今ここで争いごとが起きれば、また心に傷を負ってしまう。辛い過去を思い出してしまう。そんなのは絶対に嫌。
突然顎を掴みあげられ冷たい目で見下ろされた。感情のない漆黒の瞳の奥には、深い闇が広がっているように見えた。震える体をどうにか抑え込もうと、拳にグッと力が入る。
「いいだろう」
男性は乱暴に手を離すと踵を返して歩き始めた。
深く深呼吸をして私も一歩踏み出した。すると誰かに腕を掴まれた。強張った顔で小刻みに首を横に振るマデリン。
「大丈夫だよ。 だからここで待ってて。 ね?」
マデリンに笑って見せた。
神父様は目が合うと静かに頷いた。