求めよ、さらば与えられん
ロロ君を起こしてしまわないようにそっとベッドから降りた。ずっとロロ君の頭がのってたから、少し痺れてる。



「次はリリーちゃんの番」



リリーちゃんを椅子に座らせて、傷だらけになった足を手当てした。傷が深いところもある。諦めずに助けてくれる人を探し回った証拠。なんて強い子なんだろう。



「今はこれだけしかないんだけど、包帯と傷薬。 こまめに薬塗り直して交換してね。 それから、こっちはロロ君のお腹のお薬。 食後にロロ君に飲ませてあげてくれる?」

「うん、分かった。 ありがと、お姉ちゃん」

「どういたしまして」



立ち上がるとスカートをギュッと掴まれた。



「もう……帰っちゃうの?」



床に膝をつき、リリーちゃんの手を両手で包み込むように握った。

見た感じご両親や大人の人と一緒に住んでる気配がない。幼い子供二人で生活しているのかもしれない。それがいつからなのかは分からないけど、きっと心細いに違いない。



「明日もくるね」

「ほんと?」

「本当! 約束ね」

「やくそく!!」



溢れんばかりの笑顔を返された。


リリーちゃんたちと別れてダミアンさんに謝った。するとダミアンさんからは「まっ、しゃーねーな」と笑って言われた。



「それにしても、いつも薬持ち歩いてんのか?」

「傷薬、腹痛の薬、頭痛薬、包帯は持ち歩いてます。 持ってないと落ち着かなくて……あはは、もー職業病ですね」

「あるある、そーいうの。 俺もつい人間観察しちゃうからな。 一種の職業病だろうな。 だはは!」



帰りはまったりした雰囲気だったけど、帰り着いてからは予想通りジーンのお説教が待っていた。





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