求めよ、さらば与えられん
ジーンの部屋まで行くと、扉の前に立っていた警備の人がジーンを呼んでくれた。ジーンは私の顔を見ると、何も言わずに部屋に招き入れてくれた。そして扉が閉まるより早く、抱きしめられた。



「何があった」

「分からない……私にもまだ分からないの……」



ただでさえ緩い涙腺が、熱のせいかもっと緩くなっている。私はジーンに甘えてばかりだ。この人の前だと取り繕う事を忘れてしまう。それはきっとありのままの私を受け止めてくれるから。



「話があるのはわらわだ」

「新しい情報か?」

「……ベアトリーチェの身体を蝕む毒について話をしにきた」



毒?これが……?


気付けば胸元を押さえていた。



「毒、だと……? どういう事だ!!」



今にもアウロラに食ってかかりそうな勢いだ。



「ベアトリーチェ、見せておやり」



胸元のリボンを解き、ジーンに見せた。ジーンは困惑した表情を浮かべた。何も言わず、ただただ私の胸元を見ている。穴が空いてしまうんじゃと思う程に。



「これは……」

「プワゾンの毒だ」

「プワゾンだと!?」



それって部屋が荒らされた時にベッドに置かれてた花だよね!?



「私触ってないよ!? あれ以来見かけてもない!!」

「プワゾンの毒は体内に入れば直ぐに死に至ると薬室長が言っていた!! そんな毒が入って動けるはずがないだろう!!」

「ベアトリーチェの身体には元々プアゾンに対する抗体がある。 だが、だからと言うて毒が完全に効かない訳ではない。 赤子の時に一度、プワゾンの毒に侵された事があるのだ。 抗体があるとはゆえ、赤子ゆえに死にかけたのだが……アヴァが己の命をかけてそなたを救うた」





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