求めよ、さらば与えられん
「ママは……私を助けたら死ぬと分かっていたの?」

「アヴァはルーカスと一緒になると決めたその時から、自分の命が長くない事を分かっておった。 そして、ベアトリーチェを助ける事でその短い命が尽きてしまう事も分かっておった」

「やっぱり元々身体が強くなかったの?」

「そうではない。 人の世で生きると決めたからだ。 我ら精霊は人の世では長くは生きられぬ」



え?じゃあアウロラは?そんなに長くはいられないの?


アウロラの顔を見つめると、微笑みを返された。その姿は月の光を浴びて神々しさを増している。



「ベアトリーチェはどうなる!?」

「単独で人の世に居れば、精霊は生きられて数年だろう。 にも関わらずベアトリーチェは生きておる。 恐らくルーカスの_人の血が濃いのであろう。 それに加えて大地の加護を受けておるゆえ、そう簡単には寿命は尽きぬのだろう」

「加護……?」

「言ったであろう? そなたは大地に愛されておるのだと。 アヴァのお腹の中におる時から、我ら精霊、そして妖精、動物たち…たくさんの愛を注がれておる。 それが加護となり、色々なものから守ってくれておるのだ」



楽しい時は草木や動物たちも笑ってくれてる気がした。泣いている時は慰めてくれている気がした。いつも一人じゃないと思わせてくれた。そっか…生まれる前から守ってくれてたんだね。


泣きそうになってる場合じゃない!



「ア、アウロラは!? アウロラはここにいて大丈夫なの!? 身体は平気なの!? アウロラが死んじゃうなんて__っ、私イヤ!! もしも無理してるなら私の事はいいから__」

「落ち着いて、ベアトリーチェ。 わらわはさっき“単独で”と申したはず。 人と契約し、人の世におる精霊は大丈夫だ」

「契約? 魔力を使う者たちは力の根源に気付いていないと言っていたな? それなのにいつ契約を交わしたと言うんだ」





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