求めよ、さらば与えられん
手を広げ、手のひらを見つめた。


ママと同じ力がこの身体には流れてる。



「アヴァはベアトリーチェの力を知って泣いておった。 泣きながら自分を責めておった」

「ベアトリーチェが治癒の力を使ったのは俺が初めてだろ?」

「あぁ、その通りだ」

「やはりな」



指を絡め、ずっと繋がれている手に力を込めた。



「アヴァ様のあの時の顔……驚きの後に見せた悲しそうな表情が忘れられない。 何故そんな顔をしたのか分からなかったが、アウロラの話を聞いて合点がいった」



そう言えば、ママの事を話してくれた時、一瞬ジーンの様子がおかしかった。本当はこの事を話そうとしたの?



「ママはどうして泣いたの?」

「アヴァは自分の力がどれ程素晴らしく、そして恐ろしいのかよく理解しておった。 心から愛する者を救う為に使う者もおれば、悍(おぞ)ましい欲望の為に利用する者もおった。 コンソラトゥールを巡り醜い争いごとが起こった事もあった。 それゆえ悲しんだのだ。 そなたの力を巡って、争いが起こり、そなたの心が壊れてしまうのではないかと……」



私は今頃になってママの想いを受け取った気がする。ママが懸念していた通りになってしまった。ごめんなさい……でも、私の心はまだ壊れてはいない。泣き言を言う事もあるし、甘ったれた部分もある。けど、たくさんの人との出会いが私の心を強くしてくれた。


ジーンやアウロラ、レミー……みんなが付いていてくれる。





< 259 / 334 >

この作品をシェア

pagetop