求めよ、さらば与えられん
「父様__」



クリストフは国王陛下に背を向けたまま、言葉を出した。



「母様の本当の名はエデです」

「何を言って__」

「プワゾンの精霊エデ__それがその女の正体だ」



聞き慣れた堂々とした声。顔を上げるとカステルさん、ダミアンさん、バローさんを引き連れたジーンの姿が見えた。みんな傷だらけで、ボロボロだ。



「パメラが精霊…だと……?」

「ヴィクトル、貴方には感謝しているわ。 人間の世界を見せてくれた事。 けどもう今いるこの世界にも飽きてしまったの」



エデ伯母さまの笑みはまるで心のない人形の様だった。美しい顔にも、惑わす様な声にも感情の色が見られない。



「パメラだとかエデだとか、名前なんてどうでもいいよ」



抑揚のない声。その声がルネ王子のものだなんて信じられなかった。


凍てつく表情はジーンの感情を押し殺した時の表情とどことなく似ている。



「お前に聞きたいことがある」

「何かしら?」

「僕の母様を殺したのはお前か?」

「わたくしの持っていた花をいたく気に入ってくれたの。 だからわたくしはその花を__プワゾンの花をプレゼントしたまでよ。 わたくしが殺したのではない。 彼女が自ら死を選んだ。 ただそれだけのこと」

「ッ__!!」





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