私の運命、変えてみせます!
スラリとした手足を強調するような大きく胸元の開いた水色のワンピースを着た女性の耳は、長く鋭く尖っている。
綺麗なサファイアのような瞳で小さくウィンクをされると鏡の前で腰に手を添えて、指を鳴らすと一斉に布がその身を動かし始めた。
一人でに宙に浮き、ヒラリとその身を翻すその光景はあまりにも現実離れしている。
「いらっしゃい、クロレの仕立て屋へ。今日もいい布を仕入れてあるわよ」
クロレと名乗った女性は奥のカウンターへと入ると、壁に取り付けられた戸棚を開け何やら唱える。
すると中から裁縫道具達が順番に並んで、戸棚から出始めた。
そのままカウンターへ辿り着くと、布達と戯れるように動き始めた。
『この生地、カイガスビル地域の珍しい布?』
「本当にあんたはどこまで知ってるんだか……そうよ、仕入れるの大変だったのよ」
『なら、今度この布で新しいの作ってくれない?』
「それは仕事用?普段用?」
『んー……どっちでもこの生地だったらいいかな』
何事もなかったかのように話す二人に、なんて声をかけていいか分からずにいると、後からそっと何かから撫でられた。
振り返ればそこには白い花のようなものの刺繍が施された淡い灰色の布だった。
優しいその色合いに思わずその布に触れた。
しっとりとした感触は、肌を優しく労わるように撫でていく。