私の運命、変えてみせます!
そんな私の様子をいつの間にか見ていた二人の視線に気づいて、思わず背筋を伸ばした。
もしかして触れてはいけないものだったかと、謝る準備をしたがその必要はなかった。
「驚いた……こんな短時間で布達が主を選ぶなんて初めて見たよ」
『流石、お嬢さん』
二人の反応に首を傾げていると、先程の布が私の頬を何度も撫でた。
少しくすぐったくなって小さく笑うと、布が私の背をそっと押した。
「あ、あの……」
二人に近づく形となり小さく縮こまっていると、クロレさんは私の後にいる布においでと優しく呼びかけた。
言う通りに動いた布をそっと手に取ると、クロレさんはグイッとカウンター越しにその身を近づけてきた。
「この店はね、人が布を選ぶ場合と布が人を選ぶ場合の二つがあるの。でもね、後者は私が店を開いてから一人しか現れてない。つまり!」
ぐいっと手に持った布を私に見せつけるようにして、前へ突き出すとクロレさんは、にっと笑って見せた。