私の運命、変えてみせます!
「あなたはこの布に選ばれた、選ばれし者。あなたはこの布を身に纏う運命にある、ってこと!さあ、仕立てるわよ!」
有無も言わずにクロレさんの勢いに負けて動き出しながら、ノワールをチラリと盗み見ると、どことなく嬉しそうだ。
カウンターの隣にある試着室のような場所へと連れてこられ、コートを脱ぐと一人で勝手にメジャーが私のスリーサイズを測っていく。
あまりにも素早くかつ丁寧にメジャーが測っていくものだから、その動きを見つめていた。
メジャーが測定し終わると、クロレさんは顎に手を添えて私を上から下までじっくりと見つめた。
「んー、大胆にドレス風なワンピースでどう?腰にこの白リボン巻いたら可愛いと思うんだけど」
「あ、あの……」
勢いに負けじと声を絞り出すと、クロレさんの視線に思わずモゴモゴと口を動かしてしまう。
「どうかした?」
「そ、その。なんというか……」
昔ハッキリと似合わないと言われた色で、私を着飾っても似合わないんじゃないか。
そう喉の奥にある本音を吐き出したいのに、吐き出せないでいた。
今までずっと避けてきた色の服に袖を通すなどして、この世界でも痛い視線を感じてしまうのではないかと怖かった。