霧幻哀歌ー君と過ごした10 DAYSー
恨めし気に下から睨みあげると怒られるかと思いきや何やら神妙な面持ちで見つめられた。
「お前は運命ってやつを信じるか?」
突然、そう言った日野に目が離せなくなった。
どこか憂いの帯びた漆黒の瞳に吸い込まれたように。
どのくらいそうしていたか。
「悪い、忘れてくれ」
その一言で交わっていた私達の視線は離れた。
何なの…今のは。
ブラックコーヒーをグッと一気に飲み干した日野は荷物を纏めると席を立ち、私を振り返ると気まずそうに視線を彷徨わせながら言った。
「また…夢の続きを聞かせろよ。それと悩みすぎるな。明後日、京都に行けば何か分かるだろうしな」
曖昧に返事を返すと日野はそのまま帰ってしまった。
「変な奴…」
私の独り言は誰にも聞こえる事なく溶けていった。