王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
*
何もしない時間というのは長く感じるものだ。
いつも、薬を作ったり売り子をしたりと慌ただしく生活していたエマには、途方もなく長い時間だった。
途中、夕飯だと牢番が食事を持ってきてくれて、そのときに牢番のふたりの子供の話を聞いた。
やんちゃで怪我ばかりしてくる長男と、体が弱く寝込みがちな次男の話だ。エマが喉によく効くハーブティのレシピを教えると、牢番は慌ててメモを取る。
「自分でできなかったら店に行くな」
「ええ。私がいなくても、妹か母が対応してくれるはずです」
「アンタはこんな時でも人に優しく出来るんだな。……本当にいい子だなぁ。早く出してやりたいよ」
食べ終わった食事は牢番が片付け、エマは再び独りぼっちになる。
寒いと思うのになぜか眠くなり、ベッドの中で丸まっているといつの間にか寝ていた。気が付いたのは物音でだ。
「いけません、殿下」
「どうしてだ。彼女を牢からは出さない。父上が望む要件は満たしているだろう」
「ですが」
「いいからお前は何食わぬ顔で番をしていろ。リアンが来ても取り次ぐなよ」
「無理です」
「セオドアのところに行ったと言っておけ」
話声で目を覚まし、そこにギルバートの姿を見つけてエマは目を丸くする。
「ほら、鍵を出せ」
「はい」
脅された風の牢番は、腰をかがめて牢に入るギルバートの背中に念を押すように告げた。
「……間違っても、ここでお戯れはおやめくださいね?」
「こんな状況でそんなことするか。いいからお前は戻ってろ」
しっしっ、と手を振られ、牢番が渋々と定位置へと戻っていく。
エマはそれが本当にギルバートなのか信じられなくて瞬きを三度した。
何もしない時間というのは長く感じるものだ。
いつも、薬を作ったり売り子をしたりと慌ただしく生活していたエマには、途方もなく長い時間だった。
途中、夕飯だと牢番が食事を持ってきてくれて、そのときに牢番のふたりの子供の話を聞いた。
やんちゃで怪我ばかりしてくる長男と、体が弱く寝込みがちな次男の話だ。エマが喉によく効くハーブティのレシピを教えると、牢番は慌ててメモを取る。
「自分でできなかったら店に行くな」
「ええ。私がいなくても、妹か母が対応してくれるはずです」
「アンタはこんな時でも人に優しく出来るんだな。……本当にいい子だなぁ。早く出してやりたいよ」
食べ終わった食事は牢番が片付け、エマは再び独りぼっちになる。
寒いと思うのになぜか眠くなり、ベッドの中で丸まっているといつの間にか寝ていた。気が付いたのは物音でだ。
「いけません、殿下」
「どうしてだ。彼女を牢からは出さない。父上が望む要件は満たしているだろう」
「ですが」
「いいからお前は何食わぬ顔で番をしていろ。リアンが来ても取り次ぐなよ」
「無理です」
「セオドアのところに行ったと言っておけ」
話声で目を覚まし、そこにギルバートの姿を見つけてエマは目を丸くする。
「ほら、鍵を出せ」
「はい」
脅された風の牢番は、腰をかがめて牢に入るギルバートの背中に念を押すように告げた。
「……間違っても、ここでお戯れはおやめくださいね?」
「こんな状況でそんなことするか。いいからお前は戻ってろ」
しっしっ、と手を振られ、牢番が渋々と定位置へと戻っていく。
エマはそれが本当にギルバートなのか信じられなくて瞬きを三度した。