王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
「……正式な婚姻は一年後としよう。それまでにメイスン殿は事業の発展に尽くしてくれ。エマ殿は準備が整い次第城に住まうといい。妃教育は王妃に任せよう」
「ありがとうございます。父上!」
ギルバートは感極まってエマを再び抱きしめる。「ちょ、離してギル!」とエマが慌てるのを、国王は呆れたように見ていた。
「やれやれ、あの淡白なギルバートが君の前だとずいぶん態度が違うな。世継ぎの誕生に関しては期待できそうだな」
国王のセクハラじみた発言にエマが真っ赤になる。
「だが、一応外聞というものもある。婚礼式が整うまで間違いを起こすんじゃないぞ。ギルバート」
「気をつけます。一応」
「一応って何? もうっ、離してギル!」
真っ赤になったエマの雄たけびに、一同が笑い出す。もちろん国王もだ。
謁見室は久しぶりに和やかな空気に包まれた。