王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
*
それから、エマはギルバートの部屋に連れていかれた。
昨日も入った部屋だが、そのときは中をゆっくり見る余裕はなかった。
城下町にあるグリーンリーフの店舗部分よりも広い部屋に、ベッドと書棚、暖炉に物書き机とソファが置かれていて、続き間への扉もある。
ギルバートはエマをソファに座らせると、釈放に至った一部始終を聞かせた。
「そっか。みんなが助けてくれたんですね」
エマが嬉しそうに微笑むと、ギルバートは不満そうに眉を顰める。
「……なんで丁寧語なんだ? よそよそしい」
「だって。王子様と話すのに礼儀は大切でしょう?」
「外ではな。ふたりきりのときにそんな気遣いはいらない。今まで通りにしてくれ」
「そうなの?」
エマは小首を傾げる。
「私、なんにも分からないんだもの。本当にあなたの傍にいて大丈夫なのかしら」
「そうだな。生まれてきた環境が違い過ぎる。多分俺たちの間では常識も違うんだろうな。だから言葉にすることが大切なんだと思う。エマは俺になんでも聞いてよ。俺も分からないことは全部君に聞く」
「そうね。……じゃあさっそくだけど、私はこれからどうすればいいの?」
「城に部屋を用意するからそこに入ってもらう。ああ、あとでご両親が来ることになっているから正式な話をしよう。しばらくは城に慣れることだな。後は君も願ってくれた通り、俺を支える存在であればいい」
「支えるってどうするの?」
「これだけでいいよ」
ギルバートはエマをぎゅっと抱き締めた。
思い切り髪のにおいを吸い込まれ、エマは慌てて離れようとするが、力が強くて抜け出せない。
それから、エマはギルバートの部屋に連れていかれた。
昨日も入った部屋だが、そのときは中をゆっくり見る余裕はなかった。
城下町にあるグリーンリーフの店舗部分よりも広い部屋に、ベッドと書棚、暖炉に物書き机とソファが置かれていて、続き間への扉もある。
ギルバートはエマをソファに座らせると、釈放に至った一部始終を聞かせた。
「そっか。みんなが助けてくれたんですね」
エマが嬉しそうに微笑むと、ギルバートは不満そうに眉を顰める。
「……なんで丁寧語なんだ? よそよそしい」
「だって。王子様と話すのに礼儀は大切でしょう?」
「外ではな。ふたりきりのときにそんな気遣いはいらない。今まで通りにしてくれ」
「そうなの?」
エマは小首を傾げる。
「私、なんにも分からないんだもの。本当にあなたの傍にいて大丈夫なのかしら」
「そうだな。生まれてきた環境が違い過ぎる。多分俺たちの間では常識も違うんだろうな。だから言葉にすることが大切なんだと思う。エマは俺になんでも聞いてよ。俺も分からないことは全部君に聞く」
「そうね。……じゃあさっそくだけど、私はこれからどうすればいいの?」
「城に部屋を用意するからそこに入ってもらう。ああ、あとでご両親が来ることになっているから正式な話をしよう。しばらくは城に慣れることだな。後は君も願ってくれた通り、俺を支える存在であればいい」
「支えるってどうするの?」
「これだけでいいよ」
ギルバートはエマをぎゅっと抱き締めた。
思い切り髪のにおいを吸い込まれ、エマは慌てて離れようとするが、力が強くて抜け出せない。