王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
*
毎日、僕は城の周りをパトロールする。そして、エマの部屋の窓が空いているのに気づいて覗いてみると、今日は薬作りをしていた。
「エマ、何作っているんだ?」
「きゃっ、びっくりした、バームか。……栄養剤よ。夜会があるから、皆さん準備で大変そうだし」
「夜会ねぇ。人間ってのは昼も夜も動くのが好きだねぇ」
特にこの国の王様は大好きだ。何かがあるとすぐに夜会って言いやがる。
鳥の種類にもよると思うけど、僕は夜は巣でおとなしくするタイプの鳥だ。視界が悪い中飛びまくってもろくなことはない。
だから、夜会は本当に苦手なんだけど、エマが出るというなら見張っててやらなきゃならないだろう。
「ところで、最近あいつを見ないな。ええと、セオドア」
「ああ、第二分団は今遠征に出ているのよ。北の山でがけ崩れ跡が見つかったから調査に行くんですって」
「ふうん。そんな仕事もするのか。ご苦労だな。そういや、最近騎士団に見かけない奴が入ったな」
「あら? そうなの?」
「新参なのかな。騎士団員の服は着てたぞ」
「第二分団がいない分、衛兵が外に補充されているのかも。……あ、そうだ。これ、バームにあげるわ」
エマが差し出したのは、金色のブローチだ。
「気に入ったんでしょう? この間つけていた時にちらちらって見てたなって思っていたのよ」
「い、いいのか?」
「うん。私はほかにも持っているから。バームは私専属の騎士のようなものだもの。……ふふ、勲章の代わりね」
騎士団員には等級に応じた勲章が与えられる。正装の時にしかつけないが、セオドアが第二階級の勲章を付けていたときは、うらやましく思ったものだ。
「エマ王太子妃から与えられる勲章か。悪くないな」
「もう、茶化すのはやめて」
「はは。ありがと」
僕はエマがくれたブローチを咥え、すぐさま巣に持って帰った。
キラキラを集めるのは、僕の趣味だ。銀色のキラキラもあるが、やっぱり金色がきれいだ。
エマがくれた、僕の勲章
そう思うだけで、このキラキラはほかのとは違う輝きを秘めている気がした。
毎日、僕は城の周りをパトロールする。そして、エマの部屋の窓が空いているのに気づいて覗いてみると、今日は薬作りをしていた。
「エマ、何作っているんだ?」
「きゃっ、びっくりした、バームか。……栄養剤よ。夜会があるから、皆さん準備で大変そうだし」
「夜会ねぇ。人間ってのは昼も夜も動くのが好きだねぇ」
特にこの国の王様は大好きだ。何かがあるとすぐに夜会って言いやがる。
鳥の種類にもよると思うけど、僕は夜は巣でおとなしくするタイプの鳥だ。視界が悪い中飛びまくってもろくなことはない。
だから、夜会は本当に苦手なんだけど、エマが出るというなら見張っててやらなきゃならないだろう。
「ところで、最近あいつを見ないな。ええと、セオドア」
「ああ、第二分団は今遠征に出ているのよ。北の山でがけ崩れ跡が見つかったから調査に行くんですって」
「ふうん。そんな仕事もするのか。ご苦労だな。そういや、最近騎士団に見かけない奴が入ったな」
「あら? そうなの?」
「新参なのかな。騎士団員の服は着てたぞ」
「第二分団がいない分、衛兵が外に補充されているのかも。……あ、そうだ。これ、バームにあげるわ」
エマが差し出したのは、金色のブローチだ。
「気に入ったんでしょう? この間つけていた時にちらちらって見てたなって思っていたのよ」
「い、いいのか?」
「うん。私はほかにも持っているから。バームは私専属の騎士のようなものだもの。……ふふ、勲章の代わりね」
騎士団員には等級に応じた勲章が与えられる。正装の時にしかつけないが、セオドアが第二階級の勲章を付けていたときは、うらやましく思ったものだ。
「エマ王太子妃から与えられる勲章か。悪くないな」
「もう、茶化すのはやめて」
「はは。ありがと」
僕はエマがくれたブローチを咥え、すぐさま巣に持って帰った。
キラキラを集めるのは、僕の趣味だ。銀色のキラキラもあるが、やっぱり金色がきれいだ。
エマがくれた、僕の勲章
そう思うだけで、このキラキラはほかのとは違う輝きを秘めている気がした。