王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
*
エマがお店を閉めてから、こっそりとやって来たのはセオドアだった。
「セオドア様! 大丈夫なんですか? お怪我は?」
「やあエマ。もう仕事終わりなのに悪いんだが、痛み止めを貰えないか? 医師の薬は全然効かなくて困っているんだ」
セオドアは後ろの扉を気にしながらこっそりと言う。
エマの薬を毛嫌いしている医者には内緒なのだろう。
「まあ。……でも、飲み過ぎになるといけませんから、お医者様の薬がどんなのだったか教えてもらえますか?」
セオドアは処方されている粉薬をエマに見せる。エマは確認し、セオドアを中に招き入れた。
「これを飲んでいらっしゃるのなら、一滴でも多すぎるかな。……量の微調整が難しいので、お茶でお出しします。どうぞ」
「ああ、悪いな」
セオドアの肩に包帯が巻かれているのが服の上からも分かった。槍での怪我だということだが範囲は広そうだ。
「お怪我なさるなんて珍しいですね」
「ああ、少しぼうっとしていてな」
エマはお茶をいれ、痛み止めの薬をスプーンを伝わせるようにしてほんの少しだけ入れてかき混ぜた。
(セオドア様なら、ギルが本当は騎士団員じゃないかどうかも知っているはず……)
エマは迷っていた。彼の本当のことが知りたい。でも知ることもまた怖い。
もし、ギルが騎士団員じゃなかったら? それを知ってしまったら、今までのようにはできなくなるんじゃないだろうか。
エマがお店を閉めてから、こっそりとやって来たのはセオドアだった。
「セオドア様! 大丈夫なんですか? お怪我は?」
「やあエマ。もう仕事終わりなのに悪いんだが、痛み止めを貰えないか? 医師の薬は全然効かなくて困っているんだ」
セオドアは後ろの扉を気にしながらこっそりと言う。
エマの薬を毛嫌いしている医者には内緒なのだろう。
「まあ。……でも、飲み過ぎになるといけませんから、お医者様の薬がどんなのだったか教えてもらえますか?」
セオドアは処方されている粉薬をエマに見せる。エマは確認し、セオドアを中に招き入れた。
「これを飲んでいらっしゃるのなら、一滴でも多すぎるかな。……量の微調整が難しいので、お茶でお出しします。どうぞ」
「ああ、悪いな」
セオドアの肩に包帯が巻かれているのが服の上からも分かった。槍での怪我だということだが範囲は広そうだ。
「お怪我なさるなんて珍しいですね」
「ああ、少しぼうっとしていてな」
エマはお茶をいれ、痛み止めの薬をスプーンを伝わせるようにしてほんの少しだけ入れてかき混ぜた。
(セオドア様なら、ギルが本当は騎士団員じゃないかどうかも知っているはず……)
エマは迷っていた。彼の本当のことが知りたい。でも知ることもまた怖い。
もし、ギルが騎士団員じゃなかったら? それを知ってしまったら、今までのようにはできなくなるんじゃないだろうか。