素直になれない、金曜日
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それから葵依ちゃんとお絵描きをしたり、絵本を読んだりして遊んで。


私とまったくのふたりきりというのは初めてで、最初は心細げに落ち着かない様子だった葵依ちゃんも、時間が経つにつれてすっかり馴染んできた。



そして一時間ほど経った頃。




「おねえちゃん、のど乾いた……」




ふいに、私の制服の袖をちょん、と引っ張るようにして葵依ちゃんが訴える。



たしかに、家の中とはいえ夏に何も口にしないまま遊び続けていれば、喉が渇くのもあたりまえのことで。



そこまで気が回らなかった自分を反省しつつ、葵依ちゃんに何が飲みたいのか尋ねると。



「冷蔵庫にね、ジュースがあるの。おねえちゃんの分もあるって、おにいが言ってた」



キッチンがある方を指差して、葵依ちゃんが教えてくれる。




「わかった。じゃあ、淹れてくるね?」





こくん、と葵依ちゃんが頷いたのを確認して、立ち上がる。


そして、最初に砂川くんに説明してもらったキッチンへと向かった。





ひとの家なのにいいのかな、と一瞬ためらってから冷蔵庫を開ける。


その中はなんというか、砂川くんの家らしく、きっちり整頓されていた。




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