素直になれない、金曜日

上から二番目の段に、ジュースのペットボトル。葵依ちゃんの言う通りだ。


取り出してみると、りんごジュースだった。



葵依ちゃん、りんごジュース好きなのかな。

私もジュースの中ではいちばん、りんごジュースが好き。



サイドボードとは別の場所に、トレイの上に伏せて置かれたコップは “使ってもいいよ” ということだと勝手に解釈して。


持ち手つきのプラスチックカップには葵依ちゃん用、グラスには自分用にジュースを注いだ。



きゅ、とキャップを閉めて再び冷蔵庫の元の場所に戻そうとしたところで、その少し下の段に同じように冷やされているスポーツドリンクのペットボトルが視界に入る。



ここに来る途中に、私が買ってきたものだ。


砂川くんが冷やしておいてくれたのかな。

よく見れば、買ってきたフルーツも同じように冷蔵庫の中に並べられていた。




「砂川くん、相当辛そうだったよね……」




ぽつり、誰もいない空間でひとりごと。



彼が二階へ上がって行ったときの姿を思い浮かべて。




─────本当に、大丈夫かな。




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