素直になれない、金曜日
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階段を上がって、左の突き当たり。

教えてもらった、砂川くんの部屋の扉の前。



一瞬ためらったのち、コンコンと扉をノックした。



すると、



「……はい」



中から掠れた応答の声。




「あの、砂川くん」

「桜庭さん……?待って、今そこ開ける」



ごそごそ、と立ち上がろうとするような物音が聞こえて、慌てて制止する。



「だ、大丈夫!自分で開けるから、砂川くんはそのままでいいよっ」




そう言って、勢いのままガチャリと扉を押し開けた。


ネイビーを基調にした、落ち着いた雰囲気のシンプルな部屋。


男の子の部屋のことはあまり知らないけれど、最低限の家具しかなくて物数が少ないな、と思った。



これが、男の子の部屋というものなんだろうか。



強引に部屋に入り込んだ私と、ベッドの傍で立ち上がりかけていた砂川くんの視線が絡む。




「勝手に入っちゃって、ごめんね」



勢いで入ったはいいものの、その方法は結構強引だったような気がする。



「大丈夫。……何か用だった?」




こてん、と首を傾げた砂川くんはいつもより少しあどけなく感じた。


風邪のせい……かな。




「あの、迷惑、かもしれないんだけど……砂川くんのことが心配で」


「え……?」


「……ただそれだけ、なの」




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