素直になれない、金曜日
そう告げると、砂川くんは少し目を見開いた。
「飲み物、飲んでないかなって思って持ってきたんだけど……。どうかな」
ベッドに腰掛けている砂川くんに歩み寄って、スポーツドリンクの入った冷たいグラスを差し出した。
細長い、けれど男の子っぽい指が差し出したグラスに添えられて。
そのひんやりとした冷たさに、一瞬砂川くんが表情を歪める。
「ありがと……助かる」
ちょっと口角をあげて、それからグラスに口をつけた。
グラスの中の液体が減っていく様子とか、時折上下する喉仏とか、口を離したときにちらりと見える濡れた唇とか。
知らず知らずのうちに凝視してしまっていたらしい。
そのことに気づいてはっとした頃には、飲み干してグラスは空になっていた。
「適当に座ってくれていいよ」
ずっと立ちっぱなしの私を気遣ってくれたのか、砂川くんが促してくれる。
「あ、ありがとう」
どこに座るべきか少し迷ったけれど、ベッドの上、砂川くんの隣に腰掛けた。
その瞬間、吃驚したように砂川くんがこっちを物凄い勢いで振り向いて────でもすぐに、何事もなかったように体勢を戻す。
「……?」
砂川くんの一連の行動が、挙動不審に見えて首を傾げた。
今のは、何だったんだろう。