素直になれない、金曜日
不思議に思いつつも、気を取り直して口を開いた。
「熱は、どれくらいあるの?」
「……測ってない」
気まずそうに目を逸らしながら、砂川くんが答えた。
測ってない……?
「だめだよっ、ちゃんと測らないと」
病院に行かなきゃいけないくらいの高熱だったら、どうするの。
「……体温計が見当たらなくて、さ」
困ったふうに肩を竦めた砂川くん。
さすがに私も体温計までは持ってきていない。
……それならば。
「砂川くん、じっとしててね?」
「は……?」
意味不明だといわんばかりに、怪訝な表情をした砂川くんにはお構いなく。
彼の肩に手を乗せて、顔をぐっと近づけた。
吐息が触れ合うほどの距離になって、砂川くんが焦ったように口を開いた。
「ちょ……っ、桜庭さん、何して、」
身じろぐ砂川くんの額に、こつん、と自分の額を重ね合わせる。
じんわりと伝わってきた温度は私のそれより幾分も高く感じて。
「やっぱり熱い、ね」
そう言いつつ、そっと額を離すと、砂川くんは口元を片手で覆いながら私の方を軽く睨むように目を細めた。