素直になれない、金曜日
それから私の家に向かおうとすると、葵依ちゃんが砂川くんの袖をきゅっと引いて。
「あおい、おねえちゃんと一緒の傘に入るっ」
そんな彼女の言葉に、砂川くんは苦笑する。
「全然大丈夫だよ?傘小さいけれど……」
私がそう言うと、葵依ちゃんが満面の笑みで飛びついてきた。
なんだか、葵依ちゃんって最初の印象よりも随分人懐っこいんだな。
ふふ、と頬を緩ませていると。
「ごめん」
砂川くんが少し申し訳なさそうに謝る。
私は首を横に振って微笑む。
「ううん、嬉しいからいいの!」
「そっか、ありがとう。……葵依、いつもはああいう我儘言わないんだけど」
桜庭さんには相当心許してるみたい、と砂川くんが呟く。
その言葉にますます嬉しくなって、葵依ちゃんと相合傘で家へ向かう道中も、心なしか足取りが軽くなった。